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書類の保存義務

<7月号>

書類の保存義務


いつもお世話になっております。

今回は、帳簿や請求書等の書類の保存義務についてのお話しをさせて頂きます。



今月のテーマ

【書類の保存義務について】

よくお客様に、「請求書とか領収書って邪魔になるし、捨てたらいけないの?」と聞かれることがありますが、「7年間(場合によっては9年間)は保管しておいて下さい」と説明しております。

毎年、会社の決算や確定申告において、消費税の納税義務者であるお客様については消費税も納付して頂いておりますが、この消費税の納付額の計算を簡単に説明しますと、「売上時に受け取った消費税から、仕入・経費で支払った消費税を差し引いた金額」となります。この“仕入・経費で支払った消費税を差し引く”ことを「仕入税額控除」といいます。

消費税法において、仕入税額控除の適用を受けるためには、課税仕入れ等の事実を記載した帳簿及び請求書等の両方を7年間保存しなければならないこととされています。仮に、帳簿や請求書等の書類を破棄しまった後に税務調査がなされた場合、仕入税額控除の適用を受けられず、仕入税額控除が0円であったものと計算されてしまうことがあります。

ここで、具体的な例を挙げて説明します。税込1,080万円の売上があり、同じ年に税込864万円の仕入・経費があったとしたら、売上時に受け取った消費税80万円から仕入・経費で支払った消費税64万円を差し引いた16万円を税務署に申告・納付していることとなります。この後に書類を破棄してしまい、数年後に行われた税務調査において、仕入税額控除の適用を受けられないこととなれば、売上時に受け取った消費税80万円全額を税務署に納付しなければならなかったこととされ、当初納付した16万円との差額64万円を修正申告として納付しなければならないこととなります。しかもこの場合、この64万円とは別に、延滞税も納付しなければなりません。

また、消費税の納税義務がないお客様についても、法人税・所得税の青色申告書による申告の関係で、帳簿及び書類を7年間保存することとされています(法人のお客様で、平成20年4月1日以後終了した事業年度に繰越欠損金が生じている場合には、9年間保存)。

尚、税務署長の承認を受けた場合には、書面による保存に代えて、一定の要件の下で、スキャナで読み取って作成した電子化文書(スキャン文書)による保存も認められています。

以上のように、帳簿や請求書等の書類の保存は、各年度の申告書の内容における大事な根拠となる為、年度ごとに整理して保管して頂くことをお願いします。

《参考文献》
国税不服審判所、平成15年6月26日裁決、「仕入税額控除╱調査中に取り寄せた資料」、『裁決事例集』、第65集、937頁、大蔵財務協会、2004年。


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