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年末調整のギモンにお答えします

振り返ってみると一年というのは短いもので、今年も年の瀬が近づき、年末調整の時期がやって参りました。この時期になると各会社で扶養控除等申告書が配布されて年末調整の準備が始まりますが、年末調整がどういうものか詳しくは分からないまま、ただただ上司に言われて協力させられているという方も多いのではないでしょうか。そこで、そうした年末調整のギモンにお答えして参りたいと思います。尚、この記事の内容は平成28年12月1日現在の施行法令に基づいております。

そもそも年末調整って何ですか?

お給料から引かれていた税金を一年分まとめて清算するものです。

サラリーマンの方は、お給料から所得税があらかじめ控除されていることと思います。実は、その控除されている所得税は概算で計算された金額なのです。

どれだけ残業をするのか事前に予測を立てるのは難しいですし、その年の年収は、その年が終わってみないと分かりませんよね。年収が分からない以上、税金の金額も正確には計算できません。そのため、各月の給与から控除する所得税は概算で計算された金額になっていて、そのために、控除しすぎや控除不足といったことがどうしても生じてしまいます。

そこで、年間の収入が確定する年末に、一年間の正確な税額を計算して、控除しすぎや控除不足の金額を清算するのが年末調整という手続になります。

年末調整には協力しなければいけませんか?

お給料をもらっている以上必要な手続になりますので、お手数をおかけしますがご協力お願いします。

年末調整をしないと、税額の過不足が生じたままになってしまいます。お仕事をされていて、お給料をもらわれている以上、お給料にかかる所得税を支払っていくことが必要になってきますし、税額に過不足が生じたらきちんと清算していくことが必要になってきます。

年末調整は社会人として必要なものとお考えいただけますと幸いです。

扶養控除等申告書を書くのが面倒なので、自分の名前と住所だけしか書かずに提出したいのですが、いいですか?

ダメではありませんが、本来であれば受けられるはずの控除があったとしても、受けられなくなってしまいます。

扶養控除等申告書の各欄は、控除を受けられるかどうかの基準に結びついています。

例えば、家族の誰かを養っている場合に受けられる扶養控除は、扶養控除等申告書にご記載いただく扶養親族の情報をもとに計算されます。奥様や旦那様の年収によって受けられる配偶者控除や配偶者特別控除は、扶養控除等申告書の配偶者の情報をもとに計算されます。「税金の精算をするのに、どうして家族の情報が必要なの」とギモンに思われる方もいらっしゃることと思いますが、控除の金額を計算するために必要な情報ということになります。

今年から扶養控除等申告書にマイナンバーの欄が出来ましたが、書かないといけませんか?

役所での税金の無駄遣いを減らすためのものとお考えいただき、ご協力をお願いします。

日々様々な報道に接する中で、「増税する前に役所の無駄を減らすべきだ」「税金を無駄遣いせずにきちんと私たちのために使って欲しい」とお思いになったことのある方も多いのではないでしょうか。年末調整の際に扶養控除等申告書へマイナンバーをご記入いただくと、役所での様々な調査・確認の手間が削減され、税金の無駄遣いを削減することに繋がります。役所のコストを削減することは、税金がより有意義に使われるようになるための一助となるものですので、ご協力の程よろしくお願い致します。

扶養控除等申告書には一緒に暮らしている家族全員の名前を書くのですよね?

ご一緒に暮らされているご家族の方でも、書くことができないケースがありますし、逆に別居されている場合でも書くことができるケースがあります。

扶養控除等申告書に書ける方は、「扶養親族」に該当する方になります。扶養親族は法律で「生計を一にする親族で、合計所得金額が38万円以下の者」とされています。

前半の「生計を一にする親族で」という部分ですが、「生計を一に」というのは、家計のお財布が一つになっていることです。同居していなくても家計のお財布が一つになっていれば、扶養親族として扶養控除等申告書に書くことが出来ます。例えば、お父様が単身赴任していて赴任先から仕送りがある場合や、進学のために一人暮らしされているお子さんへ仕送りをされている場合などでは、別居していても一つのお財布で生活しているとみなされます。

後半の「合計所得金額が38万円以下」という部分ですが、合計所得金額は、年収の合計から一定の控除項目を控除した後の金額です。これをご自分で計算して判断されるのは難しいかと思いますが、「収入がお給料のみの場合には年収103万円までであれば合計所得金額が38万円以下になる」と覚えておいていただければと思います。ただし、配偶者の方については、配偶者特別控除という別の控除が受けられる可能性がありますので、合計所得金額76万円以下(収入がお給料のみの場合には年収141万円以下)の場合には記載するようにして下さい。

寡夫や寡婦とは何のことですか?また何と読むのですか?

カフと読みます。配偶者と別れて独身でいらっしゃる方のことです。

奥様や旦那様と死別や離婚をして、その後に再婚していない方をカフといいます。その方が男性の場合には寡夫と、女性の場合には寡婦と書きます。

扶養控除等申告書には寡夫や寡夫に該当するかどうかに丸を付ける欄があります。該当する方はそちらに丸を付けていただくことで所得税の控除が受けられます。

保険会社から送られてくる葉書はどうして必要なのですか?

控除を受けるために必要なものとなります。

所得税では、加入している保険の種類や、支払っている保険料の金額などによって、税金が安くなる控除(生命保険料控除、地震保険料控除)が設けられています。こちらの控除を受けるためには、保険会社から送られてくる書類が必要になります。

家族が国外に居ます。何か注意点はありますか?

そのご家族を扶養親族とするためには一定の書類を会社に提出する必要が出てくる場合があります。

扶養親族の方が一年以上国外にいらっしゃる場合や、扶養親族の方の生活の本拠地が国外にある場合には、書類を追加で会社に提出する必要があります。具体的には、その扶養親族に送金していることを確認するための送金確認書類と、その扶養親族との血縁関係を証明するための親族関係書類が必要になります。

医療費やふるさと納税の領収証が保管してあります。これも年末調整の時に提出しても良いんでしょうか?

医療費控除や寄附金控除は年末調整では適用することが出来ません。

年末調整で適用できる控除は、いくつかのものに限定されています。医療費やふるさと納税などの控除は年末調整では適用することが出来ません。医療費やふるさと納税などの控除の適用を受けるには、翌年に確定申告をしていただく必要があります。

2つの会社で働いています。両方の会社で年末調整するのでしょうか?

いいえ、年末調整できるのは片方の会社になります。また、その場合には確定申告が必要になります。

年末調整で清算できるのは、一つの会社のお給料から生じた税金の過不足のみとなります。2つ以上の会社でお仕事をされている場合には、両方のお給料を合算して税金を計算し直し、過不足を清算する必要がありますので、翌年に確定申告をしていただく必要があります。

年末調整が終わったからと、会社から源泉徴収票をもらいました。これは何をするものでしょうか?

年収や納めた税額について会社が証明するものです。

年末調整が終わると、会社から源泉徴収票というA5の紙がもらえるかと思います。こちらは源泉徴収票といって、年収や納めた税額について、会社が証明しているものです。

住所の下の段の左から2つ目のところにある「支払金額」というのが年収になります。また、その段の一番右にある「源泉徴収税額」というのが一年分の納税額です。その他、適用を受けた控除の金額や、控除の金額を計算した際の根拠などが書かれています。

源泉徴収票は確定申告をする際に必要になるほか、住宅ローンを借りるための審査など、年収の証明が必要となる様々な場面で利用できますので、大切に保管しておいて下さい。

以上、年末調整に纏わる様々なギモンを見てきましたがいかがでしたでしょうか。税理士法人山内会計では、顧問先様の年末調整をトータルにサポートさせていただいております。年末調整に関するお困りごとも税理士法人山内会計までお問い合わせ下さい。

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